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印刷物の仕上がりが変わる!コート紙・マット紙・上質紙・特殊紙の特徴を徹底解説

るり
この記事を書いた人
  • 歴19年のグラフィックデザイナー
  • 9年間Web制作会社に勤務 → 独立
  • フリーランス10年目
  • 一児のワーママ
  • SNS総フォロワー1.7万人

チラシやパンフレット、名刺、ポストカードなど、印刷物を作る際に意外と迷うのが「用紙選び」。同じデザインでも、紙の種類によって仕上がりの印象は大きく変わります。

この記事では、代表的な印刷用紙であるコート紙・マットコート紙・上質紙に加えて、個性的で高級感のある特殊紙(マーメイド・アラベール)の特徴をわかりやすくご紹介します。

目的やデザインにぴったりの紙を選んで、ワンランク上の仕上がりを目指しましょう!

コート紙

コート紙は、表面に特殊なコーティング(塗工)加工が施された紙で、滑らかで光沢感のある質感が特徴です。このコーティングにより、インクが紙に染み込みすぎず、インクの発色が鮮やかに美しく再現されるため、印刷物の仕上がりがとても高品質になります。

特に写真やイラストなど、色彩の細やかな再現が求められる印刷に適しており、カタログ、チラシ、パンフレット、ポスターなどの商業印刷物によく使用されます。また、光沢があることで高級感も演出でき、視覚的なインパクトを与えたい印刷物にも最適です。

ただし、光沢がある分、デザインや厚さによっては安っぽい印象を与える場合もあります。

また筆記性にはやや劣るため、手書きの書き込みにはあまり向いていないという側面もあります。用途に応じて使い分けることが大切です。

マットコート紙

マットコート紙は、表面にコーティング加工が施されている点ではコート紙と同じですが、光沢を抑えたマットな仕上がりが特徴です。反射を抑えた落ち着いた質感のため、読みやすさが求められる冊子やパンフレット、書籍などによく使われます。

写真やカラーの印刷も綺麗に出せますが、ギラつきがないため上品な印象を与えられます。高級感を持たせながらも視認性を重視したい場合におすすめです。筆記性はコート紙よりやや良く、メモや書き込みが必要なツールにも対応可能です。

上質紙

上質紙は、コーティング加工がされていない、ざらっとした自然な風合いの紙です。コピー用紙や書籍の本文用紙としても広く使われており、インクが染み込みやすく、筆記性に優れているのが特徴です。

光沢がなく、ナチュラルで温かみのある印象を与えるため、シンプルで落ち着いたデザインや、手書きの記入欄が必要な印刷物に最適です。ただし、写真やベタ塗りの印刷にはやや不向きで、カラー印刷ではやや沈んだ発色になります。

特殊紙

特殊紙とは、質感・色・風合い・加工などに独自の特徴を持つ、個性的な印刷用紙の総称です。一般的なコート紙や上質紙とは異なり、見た目や手触りで印象に残る紙として、名刺・ショップカード・招待状・パッケージなど、デザイン性の高い印刷物に多く用いられます。

用途やイメージに合わせて選ぶことで、紙そのものが表現の一部となり、伝えたい世界観やブランドの個性をより深く伝えることができます。

特殊紙① マーメイドとは?

マーメイド紙は、表面にさざ波のような繊細な凹凸模様が施された高級印刷用紙です。その独特なテクスチャーは手触りにも視覚的にも印象を残し、柔らかく上品な雰囲気を演出します。

ナチュラルでクラフト感のある仕上がりになるため、手作り感や温もりを伝えたい印刷物にぴったりです。招待状や名刺、ポストカード、ブランドツールなどに人気があります。印刷の発色は控えめで、淡いトーンやシンプルなデザインとの相性が良い紙です。

特殊紙② アラベールとは?

アラベール紙は、滑らかな手触りとややマットな風合いを持つ高級ファンシーペーパーです。上質紙に近いナチュラルさを持ちながら、印刷適性も高く、カラー印刷でも比較的きれいに発色します。

紙自体に自然な風合いがあり、温かみと洗練された印象を兼ね備えているため、ブランドツールやパッケージ、カタログ、ポストカードなど、幅広い用途で使用されています。白色度のバリエーションも豊富で、仕上がりのニュアンスを細かく調整できるのも魅力です。

印刷物ごとのおすすめ紙

どんな印刷物にどんな紙が適しているか、目的別にまとめました。

チラシ・フライヤー

  • おすすめ紙:コート紙 or マットコート紙(90〜110kg)
  • 理由:コストを抑えながらも発色よく印刷できる。マットなら落ち着いた印象に。

ポストカード・DM

  • おすすめ紙:コート紙180kg以上 or マットコート紙 180kg以上
  • 理由:しっかりした厚みの用紙がおすすめです。コート紙は発色優先する場合に。マットコート紙は落ち着いた印象にしたい時や裏面に書き込みが必要な場合に◎。

名刺・ショップカード

  • おすすめ紙:マーメイド、アラベール、ケント紙(厚手)、ヴァンヌーボなどの特殊紙
  • 理由:印象に残る質感で、ブランドの個性を表現できる。箔押しや活版印刷にも相性◎。

パンフレット・冊子

  • おすすめ紙:表紙にマットコート紙135kg、本紙に上質紙またはマットコート紙90kg
  • 理由:表紙は見栄え重視、中面は可読性や書き込みやすさを考慮。

招待状・案内状・挨拶状

  • おすすめ紙:マーメイド、アラベール、レイナRなどのファンシーペーパー
  • 理由:上品で丁寧な印象を与える。活版や箔押しと相性が良い。

よく使われる紙の組み合わせ例

印刷物では、表紙と本文、表面と裏面などで異なる紙を使い分けることで、デザインや用途に最適化された仕上がりになります。以下は実際によく使われる組み合わせ例です。

印刷物の種類表紙に使う紙本文・中面に使う紙
冊子(パンフレット)マットコート紙 135kg(しっかり感+上品な質感)上質紙 90kg or マットコート紙 90kg
カタログコート紙 135kg(高発色で鮮やか)コート紙 90kg(コストとバランス重視)
リーフレットマットコート紙 110kg~135kg同じ用紙で統一感を出すことが多い

いかがでしたでしょうか?

印刷物の質感や印象は、紙選びによって大きく変わります。用紙選びは、仕上がりイメージを左右する大きなポイントであり、目的やデザインのテイスト、伝えたいメッセージに合わせて最適なものを選ぶことが大切です。

また、どの用紙を選ぶかによって費用面にも差が出るため、用途や予算に応じてしっかり検討しましょう。さらに、紙の厚さによっても印象が変わるので、名刺やポストカードのように“手に取られる印刷物”ほど、厚みの選定も重要になってきます。

印刷会社の用紙サンプルや、紙メーカーの見本帳を活用すれば、質感や発色、厚みなどを実際に手に取って確認できるのでおすすめです。画面で見るイメージと、実物の印象は大きく異なることも多いため、迷ったときはまず“触ってみる”のが一番。

そして何より、「紙の質感」にもこだわることで、選ぶ過程も楽しく、印刷物のクオリティもぐんとアップします。あなたの世界観や想いを、紙という素材にのせて、より魅力的に届けてみてくださいね。

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グラフィックデザイナー
デザイン歴19年のグラフィックデザイナー。書籍や紙媒体、Webなど幅広い制作を行う会社で約9年勤務後、フリーランスに転向。現在は女性・ママ・子育て世代向けなど、信頼感のあるデザインを中心に活動中。一児の母で、自身の子育て経験を活かし保育・育児関連の案件にも携わっています。
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